新しい人

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「私も、結婚申し込まれるかもしれないし・・・」

「・・・?!」

「あはは・・・今、私に結婚を申し込まなければいけない時が来るんだろうか?って考えてたでしょ?」彼女は、飛びっきりの笑顔を私に向けて、そう言いました。「違いますよ。新しい人からですよ。」と、続けました。

「あぁ、そうだった!その事が、すっかり自分の中から消えていた!」彼女に対する感覚が、何か、これまでとは違っているのかもしれません。年齢差が大きいケースでは、大体、年上の方が翻弄されてしまうものですが、この私も該当者の1人なのだろうと思いました。

別れ際に・・・

「私のこと、とても大切で特別な人だって認めるでしょ?じゃあ、口に出して言ってみて!」と請われたので、「僕にとって、特別で大切な人だ・・・」と言うと、また再び、飛びっきりの笑顔で、「あはは・・・『チェッ!言わせられちゃったよ。』って顔してる。」と、こちらの一瞬の表情を、簡単に読み取られていました。

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中島和長のアートスタジオ 2012年 11年 10年 09年 08年アール アン キャピタル(サロン・デッサン招待 パリ - グランパレ) 現代美術小品展(プジョー文化センター ル・カルドール画廊など) 1999年 NY 個展 1998年 パリ個展

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日比谷に行きますか?

銀座へ向かうために、私は、新宿から丸の内線に乗っていた。退社時間が近かったので、車内は少し混み始めていた。

赤坂見附で銀座線に乗り換えようか?とも考えたが、交通会館にも寄らなければならなかったので、そのまま行くことにした。

赤坂見附では、初老の米国人と見られる夫婦何組かが乗ってきた。ハトバス・ツアーの帰りなのだろうか?ウキウキとした会話が聞こえて来たが、私は、それを聞くでもなく、ただぼんやりと吊り革につかまって立っていた。特別な考えも浮かばす、思考は停止していたように思う。

「この電車は、日比谷に行きますか?」私の背中越しに、先ほどの米人夫婦の中の白髪の男性が、ふいに声をかけて来た。それは、とても自然な感じのする日本語だった。

言葉の頭に「すみません・・・」という断りがない事を除いて・・・

私の答えには、しばし時間があったと思う。“これは丸の内線だから、行かないと答えようか?だが、待てよ・・・丸の内線の銀座駅から日比谷は直ぐじゃないか!” 「えぇ、行きますよ。少し歩きますけど・・・」私は、そう答えた。

その回答を、彼は特別必要としない様子で、微笑むと仲間の元へ戻っていった。

この白髪の男性が、何故、「この電車は、日比谷に行きますか?」と問いかけて来たのか?理由が分かったのは、それから間もなくだった。

日本の英語の教科書が“This is a pen.”などという奇妙な英語から始まっていたのと同様に、大戦中、米国では語学能力が高いと思われる下士官や兵たちに、急遽、当時の敵国語を学ばせたようだ。その彼らが、最初に学んだ日本語が、「この電車は、日比谷に行きますか?」という、これも奇妙なフレーズだった?!(有楽町とは、言いづらいので日比谷になったのか?それならば、銀座でも良かったと思うのだが・・・)

「この電車は、日比谷に行きますか?」彼らには、どこか特別な思い入れがある言葉なのかもしれない。

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再び・・・

1度別れた後で、再び逢うということ・・・ 

これが、例えば何十年か後の“クラス会”とか、たまたま街を歩いていてバッタリということならば、比較的ありうることなのでしょう。・・・ですが、お互いが、全ての清算が終わったと認識したにも関わらず、それでも・・・ということになると、その理由を探すのに、本当に苦労します。

結局、明快な理由は無いのかもしれません。

2人は、ただ逢いたかったということだけ、それが、唯一の理由なのでしょう。

人は、自身の感情をコントロール出来るものと考えています。それならば、人と人とが起こす不必要な摩擦などないでしょう。自分ならば、あの様な不様な事はしない!と思っている人は、たまたま、これまでの出会いがラッキーなだけ・・・なのではないでしょうか? 人の心は様々に変化します。変化とともに、これまでとは異なるタイプの人を好きになることもあります。それが、“不思議の国のアリス”の扉を開くきっかけになるとも気づかずに・・・

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予期せぬこと

人は、見た目の印象と実像が異なることも多いが、かほりの場合も同じことが言えた。

行動力があり、常にアグレッシブと思えるのだが、それは、他人によって作り上げられた、ある意味虚像のようなものであったのかもしれない。実際の彼女は、周囲からのサポートを必要としていた。その事が、彼女の行動に自由と羨望を与えていることを、彼女自身忘れていることが多かった。

「帰り道、分かりますか?」 「いいえ、教えてください。」同乗する車の中は、特別なデコレーションがされている訳ではなかったが、魅惑的な空気が一呼吸ごとに増しているようだった。

初対面の時のノーマルな印象は、この時点で既に溶解していたが、だからと言って、アバンチュールなものになるとも考えてはいなかった。

外界から遮断された、この夜のようなプライベートな空間となった場合に、“かほり”に翻弄されずに居られるか?と言えば、それは難しいだろう。しかし、私は、全くと言って良いほど、その事に頓着していなかった。かほりは美しいが、それまで付き合った女性達とは違う、どちらかと言えば、特別好みのタイプではなかったせいだろう。

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かほり

「どちらかで、お話出来るとこありませんか?」彼女に、そう言われて思いついたのは、当時、オープンしたばかりのシティ・ホテルのレストランだった。

彼女との間で起きた出来事は、どこか、その性格のままに唐突なことが多かった。

紹介してくれたのは、私の極親しい人ではあったが、その為という理由でもないだろうが、通常では考えられないほどの短期間での仕事を要求されていた。1ヶ月間というもの、ほとんど寝る間もないくらいの仕事量であったにも関わらず、「1度、出品作を拝見したいのですが、何時ころでしたら可能ですか?」などと言うリクエストまで加えられると、正直なところ、“テーブルの上の肉”にでもされたような気分だった。

ようやく、少し余裕が出て、彼女の要求に応えられる日が来たので、連絡し、やって来たのだが、気のせいか、作品を観るのは上の空という感じで、その事で、こちらが拍子抜けしてしまった。

「会いたかったのよ・・・」随分後になって、その時の気持ちを聞いて納得出来たのだが、その時は腹立たしさも入り混じっていた。

モニュメントを扱う、屋外の造形会社を退職してから、未だ、それほど時間が経っていなかったので、2人の会話は、当たり障りのないものだったかもしれない。当時は、まだ、個人で提携会社からの仕事も受けていた時期だったので、営業慣れした会話が出来ていたようだ。彼女にすると、そこが以外と感じたようだった。

「お客様、ラスト・オーダーの時間ですが、何か、ご注文はございますか?」

ウェートレスが、私たちの会話の中に入ってきた。「今、何時ですか?」 「10時半を廻ったところです。」 「えっ!もう、そんな時間ですか?早いですね・・・ コーヒーいただけますか?」と、彼女は言った。「時間、大丈夫ですか?」私が尋ねると、「大丈夫じゃないです。」と、少しからかうように笑いながら言った。彼女がコーヒーを飲み終わる頃には、客は私たちだけになっていた。

1階へ降りる2人きりのエレベーターの中で、香水の匂いか、彼女自身の匂いか判別出来ない“かほり”が鼻腔に入ってくるのを感じた。

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