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伯爵のこと

主に、第二次大戦のヨーロッパ戦勝国が、未だに貴族社会を保持し、温存していると言っても、私たちには、ピンと来ないかもしれない。

「そのような事、ありうる筈もない。」と思われ、恐らくは無視されてしまうだろう。しかし、英国や、殊にフランスでは明らかに、その継続が見て取れる。

大戦後のフランス大統領で、平民出身と分かるのは、ポンピドゥーと、ミッテランくらいである。米英の提議にことごとく反対し、「ムッシュ・ノン」と異名を取ったド・ゴールは、貴族出身ではないとも聞くが、(ド・ゴールは、下級貴族出身であるとも言われている。)その名前は貴族を連想させるに充分である。彼の名は、フランスを象徴するような良い名前であると、私の知り合いの友であるベルギー人が語っていた。ジスカール・デスタン、そして、現在の大統領シラクは、共に奥方が貴族出身であり、首相のドビルバンは、やはり貴族であるということが分かる。(服飾デザイナーのディオールの名も、どこか貴族風であり、サン・ローランは聖人の名前のように感じられる。デュポン、デ・ラレンタ、芸名だが、ドヌーブ、ドロン、も貴族的な匂いがする。彼らが意図し、あるいは意図された事なのか、仔細は分からないが・・・その初期のイメージ作りに、名前が多分に貢献したのではとの推測が成り立ちそうだ。)

私と仲間たちが、伯爵と始めて会ったのは、1980年代の初め、彼がサロンの会長に就任して間もない頃だったと思う。立ち振る舞いが、どこか一般的ではなく、後に爵位を持つ人だということが分かって、その時の事が納得出来た。

一見すると、怜悧な印象なのだが、それは、実は表向きの顔なのかもしれない。その後、何度か会う機会があったが、最初に会った印象を持ち続けることは出来なかった。彼のような立場の人間は、不用意に自分自身を晒すことはしないし、物理的に出来ないのかもしれない。それは、ある地位に立脚する人間ならば、当然のことなのだろう。そうして、保つことが正しい行ないだという事も、後日良く理解出来た。

日本、もしくは日本人に対して、本人さえ気付かぬまま侮蔑的な側面を抱いているフランス人は多いと思うが、伯爵の場合は全く正反対で、日本人についての民族的検証や、彼独自の日本美術論を持ち、それを私たちに論じてさえみせた。

ここ数年の間、ラ・トゥールなど、これまでは考えられなかったフランス美術の日本への貸し出しが盛んである。フランス美術の紹介は、一年に数度ということもある。私たちは、これを日本びいきの彼、もしくは、彼の親しい人たちの功績によるものと考えているが、間違っているだろうか?

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コメント

元気そうでなにより
当方 暮れから昨日まで京都にいました
最近 仏像が好きになってきました
では

             伊藤文雄

投稿: f.itou | 2007年1月 4日 (木) 10時15分

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